【あと8日】「ふかみちゃんと一年中!!」『素敵な舟を、ありがとう』音源・台本のご紹介です!(進行豹
こんばんわです! 進行豹です!!!
ご支援受付期間が残り8日となりました、
抱き枕カバー連動センサー対応ボイスコンテンツ開発のためのクラウドファンディング!
「ふかみちゃんと一年中!!」
http://vigorball.com/project/s/project_id/31
本日も、
「あなたが主役のミニボイスドラマ」のサンプル音源と、ボイスドラマ台本とをご紹介させていただきます!
本日ご紹介させていただきますのは「素敵な舟を、ありがとう」
なんと! 一人称「おじいちゃん」――
ふかみちゃんのおじいちゃんたちの一人である、流おじいちゃんを主役に!
とのリクエストいただきまして書き下ろさせていただきました物語です。
わたくしの立場といたしましては、なかなか書ける機会がない、
「ふかみちゃんの、おうちでの、家族水入らずのひととき」を書かせていただけた作品ともなりました!
まずは、そのお耳でふかみちゃんの家族団らん! お楽しみいただけますと幸いです!
いかがでしょうか!?
これこのように「作品世界観を破壊しない」「年齢制限規定等、その他の禁止事項にひっかからない」範囲であれば、
既存キャラクターとふかみちゃんとの物語、をリクエストいただくことも可能な、
「あなたが主役のみにボイスドラマ」は、
冒頭のリンクの10万円/7万円コースのご支援で!
リターンとしてリクエストいただくことが可能となります!
また、
「ふかみちゃんのいろんなドラマを聞きたい! けど7万とか10万はお財布厳しすぎる!!」という方には
・ご支援者様が公開OKとしてくださっている
ものにつきましては、この「あなたが主役のミニボイスドラマ」群のフル音源と、
その他、本プロジェクトで作成されます基本ボイス、スイートアニバーサリーボイス、
起動ボイス、ならびに「あなた」呼びの『名前を呼んでもらえる!』系ボイスコンテンツ群を
まるっとダウンロードいただける、
15,000円コース『ボイスDLプラン』のご用意もございます。
あわせぜひぜひ、ご支援ご検討いただけましたら幸いです!
よろしくおねがいいたします!!!
以下、『素敵な舟を、ありがとう』の台本、再掲させていただきます!!
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『ふかみちゃんと一年中!! おじいちゃんのためのミニボイスドラマ 「素敵な舟を。ありがとう」』
2018/12/15 進行豹
;セリフは全てふかみ
;SE ふすま開
「あ、おじいちゃん、もう始めちゃってる」
;SE 食器並べる
「『少し待ってて』っていったのに。
お腹になんにも入れないで、お酒だけのんでるのなんて、体にいいわけ――」
「うふふっ、はいはい。
『お酒じゃなくてクマ焼酎』でしょ?
もう、いっつもそれなんだから」
;SE レンジ、チーン
「あ」
;SE 足音
「――はい、どうぞ。
あ、うん。はじめてつくったの。どうかなぁ?」
「……うふふっ、よかったぁ。だよねー、おいしくならないわけないメニューだもんね、これ。
ちょっとまってねー。他のももうすぐに仕上がるから」
;SE 足音パタパタ
「うん。鶏ササミ。かるぅく塩コショウしてお酒――クマ焼酎ふってから、ラップで包んでチンして。
そこに崩した梅干しを絡めて、刻んだシソの葉をあえたの」
「これね? 真闇さんが教えてくれたの。
『最近おじいちゃん、味付け濃いものばっかり食べたがるんですよ~』って、ポロっていっちゃったら、『ほんなら』って――っと!」
;SE 足音→料理並べる
「はぁい。おまたせ! きくらげと人参の温野菜サラダに、茄子とサバ缶の炒めもの。がんもどきと厚揚げとキノコの煮物に――」
;SE ご飯よそう
「ご飯はね、うふふっ、今日精米したてなんだよ――え?
そうなの? いつもより?」
「えー、楽しみ。じゃ、わたしもいただきまーす。
(はむっ――もぐもぐ――こくっ)。
あ、ほんとだ。いつもよりもちもちしてるような気がする――おいしい」
「あ、お米の研ぎ方のせいかも。
あのね? お米屋さんが、
『精米器を換えたから、研ぎはかるぅく2~3回で十分ですよ』って教えてくれて、試してみたの」
「それで――(はむっ――もぐもぐ――こくんっ)うん。
こんなにお味変わるんだったら……
わぁぁ、今まで研ぎすぎて、お米のおいしさも水に流しちゃってたのかなー」
「え? あ……うふふ。ありがと、おじいちゃん。
だよねー、いままでのだってちゃあんとおいしかったもんねー。あ、おかわり、どのくらい?」
「たっぷり? うふふ。はぁい、わかりました。
んしょ――うん! はぁい、どうぞ」
「でも、うちはおじいちゃん、ちゃあんと晩酌してくれるから、安心」
「え? あ――ちゃんとっていうのは、辞書の意味どおりでってこと。
『晩ごはんを食べながらお酒を飲む』、晩酌ってこと」
「あのね? 凪ちゃんのおじいちゃんは、お酒飲むとき、ご飯――お米食べるのイヤがってたんだって。お腹がいっぱいになると、お酒の味が鈍くなる――とかいって」
「それって、絶対体によくないって思ったから、凪ちゃんと一緒に、真闇さんのところに相談にいったの。
さっきのおつまみも、そのときに教えてもらったんだけど……」
「真闇さんね?
『クマ焼酎は、米焼酎。クマのお米は、最高に味がぴったりはまるおつまみになるとよ?』っていってくれて――」
「そう伝えたら、凪ちゃんのおじいちゃん。
『右田のお嬢がそぎゃん言うなら』って。
お米、おつまみだって考え直して、お酒飲みながら食べるようになってくれたの」
「そしたらね? うふふっ。『こらぁ旨い』って――
『晩酌の楽しみが増えた』って、凪ちゃんのおじいちゃんもうニコニコで」
「それでわたし、
『そういえば、晩酌ってどういう意味なんだろう』って、思って。
おうちにかえってすぐ、辞書引いてみたの」
「光辞苑にも冥鏡にも角河にも、
『晩ごはんを食べながら飲むお酒のこと書いてあって。
だから――
『じゃ、うちのおじいちゃんたちはずうっと、ちゃあんと晩酌してるんだなぁ』って、わたし、なんだか嬉しくて――え?」
「そんなの……だって――
だってわたし、クマ川下りの船頭さんでともはりさんなんだから……
お客さんとお話するし――」
「そのときに、いい加減なこと言えないし……
だから、知らない言葉とか、あやふやな言葉とか。
辞書をひいて調べておくの、あたりまえのことだって、思うから」
「でも……えへへ、褒めてもらえるのはやっぱりうれしい。
ありがとう、おじいちゃん」
「三年前のお誕生日のプレゼント。
おじいちゃんたちみんなが別々の辞書買ってきちゃったの、『一冊でいいのに~』って、最初は思ったけど」
「でも、三冊引き比べると、やっぱりいろいろ違うところあるから――えへへっ。今はね? とってもよかったなぁって、思ってるの」
「え? あー……うん。
あの頃は確かに……『小説書くのにいい辞書がほしい~』って――
わたし、毎日みたく言ってたけど……」
「最近は……うん。全然書いてない。
だって、小説書いてたの、御一夜鉄道のみんなとちゃんと知り合う前だったし――」
「みんなのおかげで、クマ川くだりも持ち直してきたし
……だから、忙しくて、最近は全然」
「それに書いても……新人賞とかとれっこないって、自分でだんだん、わかってきちゃって」
「でもね、辞書、すごく役にたってるよ?
わたし、ええと――人の気持ちって、川の流れみたいなものだなって、最近思うの」
「でね? 言葉が舟。
それで、自分の岸から相手の岸まで、言葉っていう舟を出して、伝えたいことを伝えようとするのが、会話」
「だけど、気持ちの川は言葉をどんどん押し流しちゃう。
伝えたいはずの大事なことが、環境とかタイミングとかにも邪魔されて、向こう岸では、とんでもないとこについちゃったりする」
「だから――辞書はね? 水棹(みざお)で櫓(ろ)なの。
言葉っていう小さな舟は、水棹と櫓とを上手に使うと、もっと上手に扱えるようになる」
「もちろん、相手の人の気持ちだなんて本当にはわからないから。
自分が上手に言葉を使えたつもりになってたのに、やっぱり誤解されちゃったりとか……今も全然普通にあるけど」
「それでも、辞書をひくたびに、言葉っていう舟を操るむつかしさのこと、わたし、何度だって思うから――」
「難しいけど、川下りとおんなじことって思えば前より、頑張れるようになったから。
実際、お客さんとのおしゃべり、わたし――
えへへっ、だよね? 前よりは上手にできるようになってるよね、やっぱり!」
「だから小説を書かなくなっても、辞書、すごく役に
――え?」
「『言葉を使うことと川下りが同じなら』?
『一番大事なことも、川下りと同じかもしれんの』
って――」
「……川下りで一番大切なこと……」
「おじいちゃんたちに、おかあさんたちに。
わたしがずっと、教わってきたこと」
「――”川へと舟を漕ぎ出す、勇気”」
「…………」」
「……あの、おじいちゃん。
あ! うん、ごめんね。ありがとう。
洗い物――うん。水につけておいてくれればいいから」
「わたし、ちょっと書いてみる。
始めたこと、途中で投げ出しちゃうのって、やっぱり、よくないっかなて思うし」
「それに――あ。うん。そうだね、話すより書いてくる!
えへへっ、おじいちゃんだぁい好き!
それじゃ、わたし、自分のお部屋にいるから――あ」
「あのね? ええとね。おじいちゃん」
「大事な言葉を――
素敵な舟を。ありがとう」
「っ! おやすなさい!」
;SE 照れて早足
;おしまい