淫妖の潜む街 その1.16 (上)
こんにちはピクルスです!
◆CI-enに掲載できる文章量の問題のため 「淫妖の潜む街」を3つに分けました。
その1の前半部分は無料の【フリーピクルスプラン】でご覧になれます。
その2、その3は現在は有料の【ピクルス付きハンバーガープラン】のみご覧になれます。
更新情報:
2018/11/25
「淫妖の潜む街」(仮題)を1.16に更新しました。分けていた追加文を加え、全体の微調整中です。
2018/11/24
「淫妖の潜む街」(仮題)を1.15に更新して3つに分けました。全体の微調整中で
それまでの更新情報はこちらをご覧ください
淫妖の潜む街 (淫妖を狩るモノ 1.16)(仮題)
<プロローグ ~文芸部・高円寺優香~>
紙を依り代にする《召還聖戦士レベル85》は、術士ごと魔王の魔法で焼かれた
「あー終わったーもうおしまいだー」
高円寺優香は机に突っ伏した。
昨日から頑張って、11時間もの間攻略していたネットゲーム。
卓上のPCからそのバッドエンドの悲しげな音楽と、長い……本当に長いスタッフロールが流れ続けている。
そのスタッフロールの一人ひとり、沢山のプレイヤーの全てが、奮闘して散った聖戦士達の名前だ。
それらが皆ロストして永遠に帰ってこない……こないのだ。自分のキャラクターもその中にいるのを確認した。
負けたのだ。完敗だ。
そしてこれまでプレイヤーの我が身を召喚してくれていたパートナーの術士が死亡しただけでなく王国の術士が全て全滅した。
これではゲームにもログインできない可能性さえある。
「え~嘘、…そんなのってないよ~私の2年5ヶ月の青春返せ~」
悔しくて足をバタバタさせていると、スタッフロールが終わった後エピローグが流れているのに気が付き、優香はマウスをクリックした。
「え~っと……何々?」
<「聖なる軍団」が最終決戦で大敗北を喫し、ついに守護者を失った王都へと魔王軍がなだれ込んだ。
王都は滅び……魔王は旧王都の人の民から無数の生け贄を用意して、ゲートを開こうとしている。魔王が人間を襲うのは、このゲートを開くための贄をかき集めるためだった。
聖戦士たちは新たに開いたゲートの先で、魔王軍を迎え撃つ!
再び悲劇が起きないために!
最期まで戦い抜いた聖戦士全員に魔法の杖を贈ろう!
この杖を鍵にして新章に挑戦できるぞ! ご希望の方は住所氏名を云々……>
「おー新章ですか! よかった~よかったよ~」
優香はメガネを上にずらして潤んだ瞳を寝巻きの袖で拭う。
――脱力して呆然としたあとの新章! 憎い事をシてくれる――
優香は一瞬だが絶望を味あわせてくれたゲーム会社を呪いつつ、くるくる回って感謝の舞を捧げた。
――次の日。
早くもキャンペーン特典の伸縮できるボールペンが送られてきた。
<このステッキがあれば魔物も一撃だ! 肌身離すな>
……と書いてある。
銀色の金属メッキがしてあるだけの、真っ直ぐな10センチ程度の金属の棒。
両方の先端が黒く、片方がボールペンで、もう片方には先端に穴がある。
穴がある方を引くと、カチャカチャと40センチ程度に伸びる。
先生が授業で使うあれだ。
「いやいやいや……何、この安物のボールペンは。何このスイッチ? あ、ペンライトね。」
LEDで先端が青白く光ってる、どこにでもあるような「伸縮するボールペン」を手の中でいじくりつつ口端を歪ませた。
「魔法の杖ねぇ……せめて材質は木にするとか、ルーンを掘るとか……
心配だな。これでポシャって1年で終わるとかやめてくださいよ……」
優香は十字架を持つように、両手でペンを持ち天に祈った。
「どうか我々聖戦士が久遠に水の星を守護できますことを……
ゲーム会社様が潰れませんように……
スタッフ様が倒れませんように……
……せめて2年」
<フリー・ピクルスプラン>へ続く
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