月宮魅艶 2019/06/22 09:25

<アダルト小説>若様の性長日記!・4

嬉しくない歴史だ…。

がっくり肩が下がる。

「それなりに歴史もあるし、仕事も昔からのものだ。ただの風俗店と一緒にされては、困るなぁ」

笑顔ながらも、眼が笑っていない。

つまりそれだけ重い歴史があるということか。

社会の闇…特に性欲は人間の三大欲求の一つ。

それを満たす会社を、何百年も続けてくるにはそれなりの覚悟が必要なんだろう。

オレは深く息を吐いた。

「プライベートの相手って…その、夜の相手の他にどんな意味があるんだよ?」

「う~ん、そうだね…。軽いものでは食事の相手。一人じゃ味気ないって言う人はかなりいるしね」

あっ、そのくらいか。

「後はパーティーのパートナーもあるな。買い物の付き添いもあるし、旅行の相手ってのもある」

なるほど。

一人で過ごしたくない人の相手役か。

そこら辺なら理解できる…が。

「まあ夜の相手の希望者の方が圧倒的に多いけどね。アハハ」

…それが問題だ。

「そういうのってさ、素直に風俗店に行けばいいんじゃね?」

「分かってないね、お前は」

ふと真剣な顔で、親父は声を潜めた。

「それなりに社会的地位がある人や、顔が売れている人が堂々と行けると思うかい?」

「それは…」

行けない、だろうな。

「だからウチは名目上は『プライベートの相手』と言っているんだ。表立って『夜のお相手』を派遣しているとは言えないだろう?」

一理あるので、思わず黙ってしまう。

「ウチにはそれなりに権力もある。うるさいところや、おしゃべりなところを黙らせることができるぐらいは、ね。だからゆっくりとプライベートを堪能したい人にとって、大事な会社なんだよ」

…まあ性欲って大事、だよな?

オレにはやっぱりよく理解できない。

多分、淡白なんだろうな。

「で? オレが童貞かどうかなんて、どこら辺で関係あるんだよ?」

「それが一番重要なんだ」

「だからどこがっ!」

「仕事内容のことですよ。若様」

梢さんが社長室に戻って来た。

トレーに二つの湯飲みを持って。

テーブルの前で跪くと、オレと親父の前に湯飲みを置いた。

オレはお茶を一口飲んで、気分を鎮める。

「若様が社長になられるには、この会社の仕事全体を知らなければなりません。一番重要なのは、お客様にどのような相手を当てるかです」

「つまり、適材適所というのものだな?」

「その通りです」

梢さんは立ち上がると、にっこり笑った。

「ここは人材派遣会社。人を見極めなければ、お客様のご要望に応えられることもできません。ゆえに若様には人を見る眼を養ってもらいたいのですわ」

「そう! わたしの言いたいことはそれだよ」

親父が嬉しそうに手を叩く。

…ホントかよ?

「だからお前の女性関係が重要なんだ。全く知らないというのは、欠点にしかならないからな」

事情は分かった。

理解はできたが…納得はできない。

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