<アダルト小説>若様の性長日記!・4
嬉しくない歴史だ…。
がっくり肩が下がる。
「それなりに歴史もあるし、仕事も昔からのものだ。ただの風俗店と一緒にされては、困るなぁ」
笑顔ながらも、眼が笑っていない。
つまりそれだけ重い歴史があるということか。
社会の闇…特に性欲は人間の三大欲求の一つ。
それを満たす会社を、何百年も続けてくるにはそれなりの覚悟が必要なんだろう。
オレは深く息を吐いた。
「プライベートの相手って…その、夜の相手の他にどんな意味があるんだよ?」
「う~ん、そうだね…。軽いものでは食事の相手。一人じゃ味気ないって言う人はかなりいるしね」
あっ、そのくらいか。
「後はパーティーのパートナーもあるな。買い物の付き添いもあるし、旅行の相手ってのもある」
なるほど。
一人で過ごしたくない人の相手役か。
そこら辺なら理解できる…が。
「まあ夜の相手の希望者の方が圧倒的に多いけどね。アハハ」
…それが問題だ。
「そういうのってさ、素直に風俗店に行けばいいんじゃね?」
「分かってないね、お前は」
ふと真剣な顔で、親父は声を潜めた。
「それなりに社会的地位がある人や、顔が売れている人が堂々と行けると思うかい?」
「それは…」
行けない、だろうな。
「だからウチは名目上は『プライベートの相手』と言っているんだ。表立って『夜のお相手』を派遣しているとは言えないだろう?」
一理あるので、思わず黙ってしまう。
「ウチにはそれなりに権力もある。うるさいところや、おしゃべりなところを黙らせることができるぐらいは、ね。だからゆっくりとプライベートを堪能したい人にとって、大事な会社なんだよ」
…まあ性欲って大事、だよな?
オレにはやっぱりよく理解できない。
多分、淡白なんだろうな。
「で? オレが童貞かどうかなんて、どこら辺で関係あるんだよ?」
「それが一番重要なんだ」
「だからどこがっ!」
「仕事内容のことですよ。若様」
梢さんが社長室に戻って来た。
トレーに二つの湯飲みを持って。
テーブルの前で跪くと、オレと親父の前に湯飲みを置いた。
オレはお茶を一口飲んで、気分を鎮める。
「若様が社長になられるには、この会社の仕事全体を知らなければなりません。一番重要なのは、お客様にどのような相手を当てるかです」
「つまり、適材適所というのものだな?」
「その通りです」
梢さんは立ち上がると、にっこり笑った。
「ここは人材派遣会社。人を見極めなければ、お客様のご要望に応えられることもできません。ゆえに若様には人を見る眼を養ってもらいたいのですわ」
「そう! わたしの言いたいことはそれだよ」
親父が嬉しそうに手を叩く。
…ホントかよ?
「だからお前の女性関係が重要なんだ。全く知らないというのは、欠点にしかならないからな」
事情は分かった。
理解はできたが…納得はできない。
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