ある一日
昼下がり、午前の授業を終えた生徒たちが食事へ急ぐ。
柔らかな芝生に踏み入り、樹にぶら下がる果実を眺める三人もまた空腹を抱えていた。
「わ~リンゴだ!ここにもあったんだね」
「うわっ…なんだこの味?!ハイネ食っちゃだめだなんか砂っぽいし!」
「ケントの花、ニュートンのリンゴとも言われる。あまり食用には向かないそうだ」
「それ口つける前に聞きたかったな!教えてくれよ!」
「そういう味の嗜好なのかと思った。次からはそうしよう」
「へえ、記念に植えられたものなんだ。それにしてもいっぱい落ちてるね」
「熟すと落果する性質がある。その内清掃されるはずだ…ほとんど誰も手を付けないから」
「まあだろうね…っているにはいるんだ」
「樹になっているものではなく、落果した後に完熟させるといいらしい」
「そうなんだ!ねえスヴェン、落っこちてるやつ何個か持ってく?あっちのきれいだよ!」
「いい考えだけど僕は今すぐ食堂に行きたい」
それもそうか、と少年たちは身を翻す。
今日のメニュー、午後の授業、週末のこと、
夏の日差しを浴びながらたわいもない話をする三人だった。