イーグリ設計局 2018/05/22 20:20

感性を信じよ

作品を作っている時、「これをこうするともしかすると批判されるかもしれない…」と思ってせっかくのアイデアを引っ込めてしまう作者さんが多く見受けられます。
しかし、大抵の場合、心無い批判というものはごく少数のノイジーマイノリティによるものです。
多くの人達は、自分が楽しめるものを探すことに忙しいのです。わざわざ嫌いなものを探してまで批判する人たちは、よほど奇特な人たちか、暇人であるかのどちらかです。
自らの感性によって導き出された最初の答えこそが現時点における最善の答えであり、これを引っ込めても出てくるのは最初の答えよりは劣るものばかりです。

自分は絵が描けないのでゲームに使うイラストなどはすべてイラストレーターさんに外注しています。
しかし、リテイクをお願いした事はまったくありません。最初に出てきたものこそが、最善のものだからと信じているからです。
しばらく時間を置いて、また同じような頼み事をイラストレーターさんにすると、前回とは見違えるほどレベルアップして作品を納入してくれます。
発注側はシロウトですから、あれをこうしろ、これをああしろとイラストレーターさんに細かいことを注文をつけるのは野暮な事です。指示するのは規格と大雑把な内容だけで充分なのです。
そもそも、イラストレーターさんに仕事を頼んだということは、そのイラストレーターさんの感性を信じたということなのですから。

教条主義との闘争

二次創作にオリキャラを出して、あろう事か原作キャラと同列に立てるなどけしからん!と大真面目に語る人を見たことがありますか?
こういう流れは、大昔にスタートレックの二次創作でオリキャラに無双させすぎて原作キャラが空気になってしまう小説が濫造されたという外国の創作界隈の反省から来ています。
(いわゆる、メアリー・スーと呼ばれている事象です。)
しかし、そんなものは大昔の話なのです。大昔の人間が扱いきれなかったから、現在の人間にとっても無意味で無価値であるというなら、電気自動車だって要りません。
オリキャラもまた道具なのです。原作キャラだけでは成立させられないストーリーがある。そこを補完するために投入されるのがオリキャラなのです。

東方二次創作RPGの有名作である「東方自然癒」では、瀬笈葉(せおいは)というオリジナルキャラクターが主人公であるのですが、これは本来の主人公である霊夢や魔理沙のオマケとして動くのではなく、話の展開は瀬笈葉を中心に進んでいきます。
これはいわゆるメアリー・スーに共通する特徴というか傾向があるのですが、原作キャラクターたちもよく描写されており、瀬笈葉が幻想郷にやって来たことによって、一部のキャラの交友関係にも変化が生じます。
これは成功したメアリー・スーであると言えるでしょう。大昔のメアリー・スーは、オリキャラを立たせようとするあまり、つまらない話になってしまいがちだった。
ところが、東方自然癒は瀬笈葉と原作キャラクターの立たせ方において、絶妙なバランス感覚を保っていたのです。

そもそも、東方ジャンルは一貫してオリキャラを拒否してきたわけではありません。
今はニコニコ動画でもほとんど見かけることのなくなった「罪袋」も、原作には存在しないキャラであり、かつては電波ソングのバックダンサー的な役割から、エロ同人誌の竿役までまんべんなくこなしてきたのです。
河城みとりやシュガーサテラのような「東方らしさ」はないキャラクターですが、無個性さを貫き、あまり話にしゃしゃり出てこない黒子的なロールを得意としたため、長年方方で引っ張りだこだったのです。

つまり、オリキャラはキャラやストーリーとマッチした時に、最大限に有益なアクターとして機能するのです。

自分は、東方鉄飛船BPにおいて多くのオリキャラを登場させていますが、これらは原作キャラたちをうまくエロに誘導したり、または非道を働いてパーティの戦いへのモチベーションを上げたり、物語の裏舞台を説明したりと、様々なロールのために動かせています。

貫徹は完璧に優先する

このように、いわゆるルール(どこかの誰かが勝手に言いだしたことですが)違反さえも創作においては立派な「手段」となるのです。
古臭いしきたりに囚われて、犬のようにキャンキャン吠える人たちは放っておけばいいのです。
そういう人たちの振りかざす「正義」は安っぽくて、ガラスのように脆いですし、どうせ次の餌を見つけたらそっちに飛んでいきます。
何より避けなくてはならないのは、今作っているものを見直そうとしてあれこれいじくり回しているうちに、コミケなどでお客さんに「ど~せ半年後も完成してないだろうな…」と呆れられることです。

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