ビアード 2018/04/30 23:54

尿意転送殺人事件

前2回がシステムの話だったので、今回は少し物語の方の話をしましょう。


この物語が大きく動き出すキッカケは、
レジスタンスのリーダーであるティアラと、
魔王が唯一恐れているという少女、アリスの出会いでした。
ですが、物語自体はこの時から4年ほど前、既に始まっていたのです。


トラバリー歴1984年の8月。
激しい夕立の降りしきったその日、
城下町の裁判所でとある殺人事件の公判が開かれました。

この裁判で扱われた事件は、
後に『尿意転送殺人事件』と呼ばれるようになりました。


この事件の被害者は、優秀な魔道士を排出する名門として名高い、
ファートス魔法学園に通う一人の女生徒でした。
彼女の遺体は、学園寮のトイレの個室で発見されました。

そして、この女生徒を殺害した犯人として逮捕されたのは、
同じ学園に通う『アリス』という少女だったのです。

被害者が死ぬ直前、アリスは被害者の少女と共に、
校舎の外で会っていました。
そのとき、アリスは尿意転送の魔法を使い、
相手の少女に尿意を植え付けたのです。

突然、強烈な尿意に襲われた彼女はいきなりのことに困惑しました。
そしてアリスは、抵抗できなくなった相手に対し、
手に持ったナイフで襲いかかったのです。

ナイフで切りつけられた被害者は命からがら逃げ出し、
寮のトイレへと逃げ込みました。
一方のアリスは、魔法学園の学園長であるフローラに取り押さえられ、
そのまま逮捕される事となったのです。

以上のことから、アリスは現行犯として逮捕されたのです。


この裁判を担当した検察官は、ヴァルキュリア部隊の隊長、リリアでした。
彼女は尿意転送魔法が、相手の抵抗力を奪いとる危険な魔法であり、
それを扱うアリスは、この国にとって大きな脅威になりうるとし、
『死刑』を求刑しました。


現行犯である以上、もはや言い逃れなどできるはずもなく、
紛れもなくアリスは犯人だったのです。
ですが、このような状況においてもアリスは、
被害者を殺したのは自分ではない、と主張しました。

そんなアリスの言葉を聞き入れる者はおらず、
このまま彼女は死刑となる……誰しもがそう思っていました。
しかしタダ一人、アリスの弁護士だけが無実を訴えたのです。


この事件の裁判を担当した弁護士は、コドーという
この国でもっとも優秀、且つ狡猾な弁護士と呼ばれている人物でした。


アリスの有罪を誰一人として疑わなかったにもかかわらず、
この裁判はコドーという一人の人間によって、
大きくかき乱されることになります。


アリスは本当に無実なのか?
だとしたら、一体この事件の犯人は誰だったのか?


様々な謎が渦を巻き、単純だった筈の事件はいつしかその姿を変えました。
そして、裁判が進むにつれ事件の裏に見え隠れする巨大な権力と陰謀……。

これらの謎が、やがて起こる大いなる戦争……
『Toilet Wars』へと続く序曲に過ぎないことを、
彼らはまだ、知るよしも無かったのです。


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